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同部会は、97年1月から6月まで10回にわたり、損害保険料率算定会の改革等の自由化措置、業態聞の競争促進、持ち株会社制度の導入、トレーディング勘定への時価評価の適用、の4項目について審議を重ね報告書を作成し、6月22日保険審議会に提出した(保険審議会はこれを了承し、同日、大蔵大臣に「保険業の在り方の見直しについて=金融システム改革の一環として=」と題する報告書を提出した)。 この間、金融制度改革の波は当初Hが構想を公表した時からスピードが加速され、97年5月には、前述のように、外国為替管理の撤廃を盛った新外為法が成立し、制度改革推進への圧力がかかったのである。
その結果、6月22日、保険審議会とともに証券取引審議会、金融制度調査会がそろって大幅な相互参入を認める報告書を提出した。 また、三審議会は、それぞれの報告書とは別に日本版ビッグパンの意義を訴える共同声明を公表し、各審議会が提出した報告を踏まえ、政府は業態の垣根をなくす改革に早急に取り組むよう求めた。
証券取引審議会の報告書はHが指示した「2001年までの改革」を前倒し、99年中に証券市場改革を完了する方向を打ち出している。 特に、98年度から証券業の免許制を廃止し、登録制へ移行する方向を明確にするとともに、99年10月に銀行の証券子会社の業務制限を撤廃し、さらに同年末までに株式委託手数料を完全自由化するなど、これまで聖域視されてきた規制も99年末までに完全撤廃するという改革の実施スケジュールを示している。
また、銀行の投信窓販も98年度に解禁する。 これとのみあいで、証券総合口座の解禁など証券業務の自由化、多角化を認めている。

これによって、証券経営が手数料依存型から資産運用・管理サービス中心に変わっていくことが期待されている。 金融制度調査会報告では、銀行の証券子会社、信託銀行子会社の業務範囲をできるだけ早期にすべての証券、信託業務にすべきであるとするとともに、保険業務との聞でも幅広く参入を実現することが望ましく、遅くとも2001年までに実現すべきである、としている。
また、98年度に銀行を軸にした持ち株会社の解禁を認め、傘下に業態別子会社方式で相互参入を認められている証券、信託銀行から、保険会社、投信委託会社や投資顧問業務、営業用不動産の管理業務を営む会社を保有することは認めるが、一般事業会社を保有することは必ずしも適当でない(ただし、情報通信分野など技術革新が進んでいる実態を踏まえ弾力的対応が必要)としている(証券や保険会社を軸にした持ち株会社が兄弟会社として銀行を保有する場合も同じ考え方になる)。 保険商品の銀行など(預金取扱い機関)による販売については、利用者利便の向上や競争促進のため、基本的には認めることが適当である、としつつも、銀行などの、影響力を行使した販売による弊害、預金など固有業務を通じて得た情報の不当利用、販売により保険契約者の保険商品リスクの所在の誤認・・・などの可能性があり適切な防止措置を講ずることが適当である、とされている。
保険審議会の報告書は、保険会社の金融他業態との聞の参入方式について、業態別子会社方式が適当であるとしている。 そして、銀行など(預金取扱い機関)の保険業務の参入は制度面では2001年までに実現を図ることが適当であるとする一方、保険会社による銀行・信託・証券業務への参入、証券会社による保険業への参入、ならびに破綻保険会社が銀行等・信託銀行の子会社となる場合については、時期を早めて実施することが適当である、としている。
また、相互参入は、認可により適格性を判断した上で認めるとともに、アームズ・レングス・ルールなどの実効性ある弊害防止措置を講じ、その遵守のために必要な確認を行う必要がある、とする。 なお、保険会社の信託銀行子会社、証券子会社の業務範囲については、当初は一定の範囲とし、その後状況の変化を勘案しつつ拡大していくことが適当である、としている。
また、持ち株会社について、保険会社の株式のある一定割合を超えて保有することについては、例えば認可により、適格性の審査を行うことが適当であるとする。 そして、金融業を営む兄弟会社については、2001年までに制度面ではすべての業態を認めることが適当であるとしつつ、複数の保険会社が兄弟会社となること、保険会社と証券会社が兄弟会社となること、破綻保険会社と銀行等・信託銀行が兄弟会社となることについては、時期を早めて認めることが適当である、としている(なお、前述のように持ち株会社は株式会社とすることが適当であり、保険会社が持ち株会社を子会社として保有することを認めるのが適当である、として、川下持ち株会社を認めている。
ただ、持ち株相互会社制度についても、諸外国の動向を見守っていく必要がある、とする)。 銀行等による保険販売については「2001年をめどに銀行等がその子会社または兄弟会社である保険会社の商品を販売する場合に限定したうえで、住宅ローン関連の長期火災保険および信用生命保険を認めることが適当である(前者については、子会社または兄弟会社の商品に限定しないことも考えられる)としている。
以上のように、保険業の規制緩和については、銀行と証券のそれに比し緩やかなペースになっており、批判的な見解も多い。 だが、これはNの経営破綻に象徴される生命保険業界の厳しい経営環境、ならびに早期是正措置と支払保証基金の未整備に配慮したものであり、やむをえないものと思われる。
ただ、98年度から外国のファンドを含む投信が銀行窓口で販売され、99年秋以降、銀行と証券が完全な相互参入を行うようになれば保険分野にも早期の規制緩和を要求する声が高まることも十分考えられる。 さらに、銀行の保険販売が増加しているアメリカにおける前述の改革案の動向あるいは銀行の保険販売(ネットワーキング)を禁止するカナダの金融制度改革の動向次第では、自由化を求める声がさらに高まる可能性もある。
そうだとすれば、一刻も早く生命保険会社の健全性の回復を図るとともに、契約者保護のため、97年中にも最終報告書がまとめられる予定の「支払保証制度に関する研究会」の検討を受けた法的整備ならびにソルベンシー・マージン基準の精般化を核とする早期是正措置の確立が急務である。 また、場合によっては、何らかの形で公的資金の導入を図る方策を検討することも必要ではないかと思われる。

本格的安全ネットの創設なしに生保ビッグパンはありえないと考えられるからである。 また、保険審議会報告が指摘するように、保険会社を含む金融機関経営の健全性維持(リスク遮断)と利益相反防止の観点から、親子会社間あるいは持ち株会社傘下の各業態の金融機関(兄弟会社)に関する規制として、役員の兼任禁止、アームズ・レングス・ルールや抱き合わせ販売の禁止などの実効性ある弊害防止措置が検討されなければならない。
なお、金融持ち株会社に関しては、関係法規の詰めが十分ではないが、公正取引委員会もこれを認める方向で、その場合の競争制限・公正競争確保の観点からの独禁法上の規制の枠組みづくりの検討を急いでいる。

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